人口減少時代でも住宅を買ったほうがいいワケ

ここまで不動産市場に関係するさまざまなデlタを見てきたが、ここで一度まとめてお
こ、つ。
-人口の減少は続くことが確実であり、不動産価格は下落傾向が続くものと考えられる0
.世帯数が減少に転じた後も、住宅の供給過剰は解消されず空き家率は上昇すると考え
られる。-駅に近い地域や利便性の高い地域、ブランド力の高い地域は値下がりしにくい。逆に
駅から遠かったり、利便性の低い地域は激しく値下がりする。この傾向は地方や郊外
はもちろんだが、大都市圏も例外ではないと思われる。

-家賃の下落スピードよりも、地価の下落スピードのほうが速いと考えられる。どれも不動産を買うには否定的なデlタばかりに見える。ところが、そうではないので
ある。もう一度思い出してもらいたいのが、金銭的に見て住宅を借りるより買ったほうが
いいと言える条件だ。住宅を借りたときの実際の家賃よりも、住宅を買ったときの実質的
な家賃が安くなるときだった。
購入しようと思っていた家が3000万円するとしよう。待っているうちに相場が下が
ったり、値引き交渉に成功して2500万円で買えたならば、実質家賃をずっと低く抑え
ることができる。しかも、不動産が下落するときは通常は金利が低いので、なおさら実質
家賃が下がる。つまり、家賃は下がりにくいが、不動産価格は下がりゃすいという特徴を
上手に活用できれば、人口減少時代であっても買ったほうがトクという条件をつくること
ができるのだ。もちろん、購入した後にもドンドン物件価格が下がってしまえば実質家賃は上がってし
まう。それを考えると、不動産価格が下がりにくい条件の物件を手に入れたい。不動産価
格が下がりにくい物件を安く買うなんて、一見難しそうな話だ。どのようにしたら実現で
きるのか、次章以降で考えていこう。家 無料査定をお考えなら。

家賃相場は比較的安定している

住宅価格は大きな上昇と下降を見せてきた。6
大都市圏の住宅地の地価は、バブル期のピlクに
比べ半値以下になっている。では賃貸住宅の家賃
相場はどのように動いたのだろうか。
消費者物価指数を見ると、民間住宅の家賃の動
向が分かる[図215]。住宅地の地価はバブル経
済が崩壊した1991年をピ1クに急激に下落し
た。ところが、家賃はその後も1998年まで上
がり続けた。その後は下落に転じたのだが、20
10年までの下落幅はわずか3・5%だ。
このように不動産価格に比べ、家賃は非常に安
定した値動きをする。賃貸住宅に住んだことがあ
る人は分かるだろうが、家賃が上がるときには結構あっさりと上がるのだが、下げてもらうのは難しい交渉となる。
ただ、空き家率が上昇する中、家賃が下げ渋っているのは他の理由もある。たとえば、
フリlレントという入居当初数カ月間は家賃を取らないという期間を設ける代わりに家賃
は下げないという方法を取る大家がいる。また、礼金や敷金を払う慣習がある地域であれ
ば、家賃を下げる前に、この礼金や敷金を下げることが始まっている。たとえば、これま
で礼金を2カ月取っていたのなら、1カ月にしたり、ゼロにしたりするのである。家賃交
渉がうまくいかなくても、引っ越しもせず我慢せざるを得なかったのは、新たに住居を借
りるときに、礼金や敷金、手数料、引っ越し代を負担しなくてはならないからだ。こうし
た初期コストを考えると、高いと思う家賃でも引っ越さずに払い続けたほうがトクだとい
う判断になる。
ところが、礼金や敷金のハードルが下がれば話は変わる。たとえば、礼金も敷金もゼロ
の物件であれば、初期コストが大幅に抑えられる。そうすれば、少しでも家賃が安い家を
見つければ引っ越ししたほうがメリットが出てくる。
大家側から見ても、引っ越しをされると次の人に貸すために、室内のリフォームをしな
ければならなくなる。最近は、東京ルlルにより、クロスの経年変化や通常の使用状態による損耗や傷は大家側の負担で修繕しなくてはならなくなった。リフォーム代の負担を考
えると、ある程度の家賃交渉であれば応じたほうが安上がりだという判断をする大家が増
えてきた。
すでに郊外や地方では礼金や敷金をゼロにした物件が増えてきている。東京お区内でも
礼金や敷金の引き下げが広がっており、こうした動きがもっと広がるのであれば家賃相場
の下落は加速するかもしれない。それでも、地価の下落スピードのほうが速いと考えられ
る。

新築を建て続けると空き家が増える

街を歩くと最近空き家や空室が多いことに気が付く。実際にどの程度の空き家があるのか、住宅・土地統計調査報告で日本の空き家の現状
を見てみよう。1963年には住宅が不足し、空き家はわずか
2・5%しかなかったが、その後空き家は増え続け
2008年には日・1%が空き家という状況にまで
なった。これまで、徐々に空き家率は上昇してきて
いるが、今後も空き家は増え続けるのだろうか。
空き家は需要を超える住宅の供給がある場合に発
生する。これまでは人口・世帯数ともに増えていた
ので需要は増え続けていることになる。現在は人口
が減少しているが、世帯数は増え続けている。これ
は、核家族化が進むことで1世帯当たりの人員が減
少しているからだ。1963年には1世帯の平均人
員は4・お人だった。ところが、2008年には
2・日人にまで低下している。独身や、夫婦子なし世帯が増えることで、人口が増える以上に世帯数は増えてきたが、その世帯数の伸びを上
回る住宅供給がされてきたということだ。
今後、世帯数は2015年をピlクに減少に転じると予測されている。ということは、
新規供給を上回るペIスで古い住宅を解体していかなければ空き家は減らない。新築住宅
着工件数は1973年の年190万戸をピlクに減少し2000年以降は年106万11
29万戸の聞を上下していたが、リlマン・ショックの影響で2009年には加万戸ベー
スへと大幅に落ち込んでいる。すでにピlク時の半分以下なので空き家の増加率が抑えら
れたはずだ。今後はより新築住宅の供給ペlスを抑えていかなければ、空き家率の上昇ベ
ースが加速することは間違いなく、じきに却%超えの時代がやってくることになるだろう。
都道府県別に見ると、すでに山梨県が却%を超えている。その他の都道府県もすべて空
き家率が叩%を上回っている。人口が流入している東京都でさえも日・1%と平均よりは
低いものの高水準の空き家率となっているのだ。
空き家や空室が増えれば、景観の面でも、治安を維持する面でも悪影響だ。住宅の供給
過剰の問題は、今後間違いなく社会問題となってくるだろう。

新興国の成臣家住宅市場にも影響を与える

2011年目月割日、世界の人口が推計で河億人に達した(ことになった)。前節で見た
ように、日本の人口は今後どんどん減少していくと予測されているが、世界に目を向ける
と相変わらず人口が増え続けている。
人口日億人を抱える中園、人口ロ億人を抱えるインド、こういった莫大な人口を抱える
新興国の経済が急成長している。かつては、貧しい国の一つだったこうした国々の経済が
成長することによって、一部の人々から豊かになり始めている。この2国の人口の1割が
豊かになるだけで、2億人を超える豊かな層が出来上がる。
経済的に豊かになれば、先進国である日本で私たちが事受してきたような生活をするよ
うになる。食事は1日3食、広くて清潔な住宅に住み、車に乗る。すると、小麦やトウモ
ロコシなどの食料、鉄や銅などの金属、原油や天然ガスなどのエネルギーの消費が飛躍的
に増えてしまうだろう。単純に人口が増えるだけでも、こうした食料やエネルギーの需要
は増えるが、新しい豊かな層の出現によって増加ペ1スは加速する。原油の消費量が2倍になったから2倍生産しましょ
う、小麦の消費量が増えたから増産しましょう、とい
うわけにはなかなかいかない。こうした動きを予測し
て、すでに世界の資源やエネルギーの相場は高騰を続
けている。
2008年にガソリンが1リットル180円を超え
たのは記憶に新しいところだ。現在のところ1リット
ル140円前後まで下がっているが、再ぴ上昇し1リ
ットル200円を超えるような時代が来るだろう。
ガソリン価格の高騰により[図213]、燃費を飛躍
的に向上させた新技術ハイブリッド車が飛ぶように売
れるようになった。当面はこうした新技術のおかげで、
ガソリン価格の高騰の影響は緩和されるだろう。とこ
ろが、モーターなどに使うレアアlスの不足により車
体価格の値上げを余儀なくされたように、負担感は徐々に高まっていくはずだ。
都会では車はすでに日常の足から、ぜいたく品へと変貌しつつある。このまま値上げが
続けば、地方や郊外ではご近所で車に相乗りして通勤するようになり、最終的には経済的
に車に乗れない人が出てくる時代が来るだろう。日常の足が使えなくなったとき、住宅に
対する考え方も変わる。
現在ではちょっと買い物に行くだけでも車に乗っているだろうが、車が使えなくなれば
ちょっとの距離であれば都会の人のように歩いて行くようになるだろう。遠くであれば電
車・汽車、パスといった公共交通機関や自転車を使って移動するようになるはずだ。
車が使えなければ、本数の多い電車の駅やバス停の近くといった徒歩で行ける範囲に人
が集中するようになるだろう。駅やバス停から遠くて、急な坂道の上や下というところは
敬遠されるようになるだろう。新興国の発展は、私たちの生活に関係ないように思えるが、
このように住宅の環境まで変えてしまうかもしれないのだ。

相続で住宅を引き継ぐ一人が増加する

人口が減少するということは、子どもが生まれるよりも、死亡する人のほうが多いとい
うことだ。住宅の所有者が死亡すれば、家族に相続されることになる。
2008年の住宅・土地統計調査によると、世帯主臼歳以上の世帯の持ち家は1092
万戸。持ち家率で見ると加%にも及ぶ。一方で子ども世代にあたるおiM歳の世帯数は、
1576万世帯。この世代の持ち家率は臼%であり、貸家に住んでいるのは592万世帯
だ。すでに持ち家に住んでいる人が親の家を相続しても、多くの場合で自分が住むのでは
なく売却することになるだろう。貸家に住んでいる人がすべて親の家に住むわけでもない
ので、相続による売り圧力は相当強いものと思われる。
街が開発される過程では、便利な地域から郊外へと街が広がっていく。初年以上前に住
宅を取得した人が多い臼歳以上が住んでいる地域は、都心や駅の近くなど便利な地域が多
い。お区内を歩いても子どもが少なく、高齢者が目立つ。こうした地域では、これから初
年近くは便利な地域での売り物件が多く出てくるものと思われ、便利な地域への人口の流入が予想される。一方で、地方や郊外、便利の悪い地域からは人口の流出が起きるはずだ。

人口動態から不動産の将来を見る

住宅には人が住む。人が住むのが住宅だから、人が増えるか減るかによって不動産価格は大きく左右される。
経済指標の予測は数カ月先の予測でもほとんどあてにならない。ところが、人口がどの
ように推移するかという予測は、まったくその通りになるわけではないが、方向感は概ね
当たる。
国立社会保障・人口問題研究所が将来の人口や世帯数の予測をしている園212]。こ
のデlタを見ると、日本の人口減少の凄まじさが分かる。外国人も含めた日本の総人口は
2008年から減少に転じており、現在の日本の人口は約1億2800万人と推計されて
いる。これが2020年には444万人、2030年までには1195万人も減少すると
予測している。現在の東京都の人口が1300万人ほどだから、たった却年ほどで東京都
と同程度の人口が減ってしまうわけだ。
日本の人口が減るといっても、一律に減っていくわけではないことに注意したい。あく
までここで見た数字は全国の数字だ。これを都道府県別に見ていくと、墓尽都はまだしば
らく人口の流入が続くと予想されている。
一方で、地方では大幅な人口減少が予想される。2010年比で人口の増減を見てみる
と2030年までに秋田県では沼・ 6%、和歌山県が却・ 3%、私の生まれ故郷の山口県が川崎・5%もの人口減少が予想されている。釘都道府県のうち、2030年までに人口の
増加が予想されているのは沖縄県、たった1県だけである。
市区町村別に見ていくと、もっと濃淡がハッキリとする。人口の流入がしばらく続くと
みられている東京都の中では、中央区、港区、府中市、稲城市は叩%以上の人口増加が見
込まれる。一方で、お区内でも品川区、北区、足立区、葛飾区は5%以上の減少だ。
大阪府は日・4%もの人口減少が予想されている。大阪は都会のイメージが強いのだが
守口市、寝屋川市、河内長野市、松原市、門真市といった却%近い減少が予想される市が
たくさん存在する。
却%近く人口が減ってしまうと、商業施設や医療機関などの採算が悪化し、撤退が相次
ぐだろう。また、利用者の減少に伴い電車やパスの本数が減るかもしれない。また、住民
が減れば税収も減るので公的な住民サービスも限界が来るだろう。たとえば、多くの住民
がいることが前提で造られた道路の保守もできなくなる可能性もあり、新設どころか廃止
されていく道路(通行止めなどにされて使用されなくなった道路)も出てくるかもしれない。
人口の急激な減少は私たちの住環境を変えるほどのインパクトがある。現在は便利な生
活を享受していても、凶年、初年先にはそうした施設やサービスがなくなっているかもしれない。住宅を買えば長期間住むのが前提なので、こうした人口の予測にも注意したい。

日本の地価は長期的な下落トレンド

買ってもいいと思えるようになるためには、一つは不動産価格が値上がりしていくこと
が条件だった。では、これまでの不動産価格はどのように推移してきたのだろうか。日本
不動産研究所が発表している市街地価格指数を見てみよう冨211]。
高度経済成長期からバブル経済が崩壊するまで、日本の地価は途中で停滞した時期はあ
ったものの概ね右肩上がりの傾向が続いたことが分かる。特に1980年代半ばから不動
産価格がピlクだった1991年までの上昇スピードは凄まじいものがあった。1988
年には6大都市圏の商業地は前年比却%を超える上昇を見せている。住宅地においても1
990年には上昇率が却%を超えた。これらはあくまで平均で、個別で見ると2倍を超え
るような物件もあった。
冷静に考えると山手線の内側の土地価格でアメリカ全土が買えるという異常な状況だっ
たわけで、バブルがはじけるのは時間の問題だったと言えよう。ところが、不動産価格は
必ず上がる、という土地神話があった時期でもあり、バブル景気の真つ只中では冷静に不
動産を取引できる人も少なかった。1990年にかけて金利が急激に引き上げ
られるとともに、大蔵省(現財務省)から
「土地関連融資の抑制について(総量規制)」
が通達された。これによって、不動産取引に
対し融資が厳しくなり、一気に不動産が動か
なくなってしまいバブル経済崩壊へと向かっ
た。
バブル経済が崩壊した後は急速に地価が下
落し、住宅地は1993年に四%と大きな下
落を見せた。その後も凶年連続で前年比マイ
ナスとなったが、ついに2006年に上昇に
転じた。2006年から2008年にかけて
のミニバブルの到来である。このころは都心
の商業地が年率叩%を超える上昇を見せた。
そしてやってきたのが2007年のサブプライム・ショックと2008年のリlマン・ショックである。再び不動産が下落局面へと
入ってしまった。6大都市圏はまだいいほうだ。6大都市圏以外の市街地価格指数では、
ミニパプルの上昇期が確認できない。地方の地価は初年近くダラダラと下がり続けている。
バブル経済崩壊後の長期にわたる経済の低迷は「失われた初年」と言われている。パプ
ル崩壊直後に比べれば現在の下落スピードは緩やかになったとはいえ、まだ不動産価格は
下がり続けている。ひょっとしたら失われた初年となってしまうのかもしれない。下がり
続けているということは、不動産を買わないほうがよかった人が多かった時代とも言える。
ただ、6大都市圏にはミニパプルがあり、ミニパプル前の200412005年にかけ
て不動産価格が一旦底を打っているように見える。このころに不動産を買った人には、い
ま売れば買ったときよりも高く売れる人が多くいるはずだ。このように不動産には価格変
動があり、上昇したり下落したりする。相場の流れを上手に捉えることができれば、長期
の下落トレンドの中でも買ってよかったと思えることもあるのだ。

得か損かは実質家賃で分かる

実際にその住宅を買って、損なのか得なのかはどのように
したら判断できるのだろうか。結論としては、不動産の相場
が今後どのように動くのかを予測できない以上、分からない
というのが正確だ。それでも、大まかな目安を見て判断したいというなら、つぎのような寄賓家賃という考え方を取り入れてみよう。
実質家賃とは、住宅を売買したり維持するコスト、住宅ロlンの返済負担、住宅価格の
値動きなどを考慮して計算する。住宅を購入し、ある期間にわたりその住宅に居住し、最
終的には誰かに売却すると考えたときに、全体にかかったコストを計算し、そのコストを
居住した期間で割れば、その期間その家を借りていたと考えた場合の実質的な家賃に相当
する金額を計算することができる。具体的には購入から売却までにかかる累積コストに住
宅ロlンの残債を加え、不動産の売却によって得られる金額を差し引き、その結果を保有
期間で割ることで、保有期間中の実質的な家賃は計算できる。

物件選ひの流れを変えよ

夢のマイホームを買って、その夢が悪夢だったことを知る。そうならないために、物件
探しのプロセスから考えてみたい。
多くは、次のようなステップで家探しをしている。まずは、①通勤している会社や子ど
もの学校を基準に、通勤、通学に便利な場所、親元に近い場所、学生時代過ごして慣れ親
しんだ場所、など住みたい地域を特定する作業から開始するだろう。次に、②その地域内
の物件をインターネットなどで探し、よさそうな物件があったら登録されている不動産業
者へ連絡する。もしくは、不動産業者に希望を伝え、物件を探してもらう。③魅力的な物
件が見つかったら、価格について検討する。
この流れは一般的ではあるが、大きな問題をはらんでいる。ある程度の予算を設定して
物件を探すものの、魅力的な物件はなかなか見つかるものではない。いろいろな物件を紹介してもらっているうちに、もう少し出せばもっといい物件が手に入ると思うようになり、
予算オーバーしてでも手に入れようとする。一生を考えれば、そのほうが逆に安上がりだ
と理由をつけるようになる。魅力的な物件から探す方法は予算オーバーになりやすい方法
なのだ。
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200万円の車を検討している人が、もう200万門出したらもっといい車が買えると
予算を増額することはほとんどない。ところが、3000万円の家を探している人が、も
う200万円出せばもっといい家が買える、という話はそこら中に転がっている。中には
「たった200万円」と言ってしまう人も出てくる。大きな金額の買い物をするときほど、
金銭感覚が狂いやすい。この予算オーバーに注意しなければ家計を破綻させてしまうキツ
カケとなるかもしれない。
こうした手順で探している限りは、買ったほ、つがいいと思える物件に出合える確率は低
い。物件を探す手順から変える必要がある。
まず最初に住みたい地域をおおまかに決めるのは、変える必要はない。次の手順が重要
だ。価格の条件からスクリーニングをかけて、物件の絞り込みを行いたい。これは株式投
資などでは普通に行われている方法だ。一定の基準を基に、条件に該当する物件群を抽出するのだ。その中から、より魅力的な物件を選ぴ、実際に現地に赴いて購入すべき物件を探してほしい。一生を左右しかねない大きな金額を投じるのだから、感情で買うのではなく、徹底したデlタに基づいて冷静な頭で物件を選ぶのだ。この手順だと、ひょっとしたら条件に合致する物件群の中には、魅力的な物件は見つからないかもしれない。もしも、見つからないなら、購入を見送ろう。ここで妥協してしまえば、住宅を買って資産形成するどころか、逆に家計を破壊する物件を買ってしまう確率を高めることになる。

あなたはどうして家を買いたいのか

住宅購入の相談に来られる方は、多くの場合で冷静さを失っている。普段は高くてもせ
いぜい数十万円のものしか買わないのに、数千万円の買い物をするわけだから、ある意味
仕方のないことではある。しかし、数千万円の買い物で失敗してしまえば、一生を台無し
にしてしまう危険性もある。住宅の購入は人生の一大プロジェクト。冷静な頭で、購入計
画を進めていくことだ。
そのためには、まず自分はどうして家を買おうとしているのか、明確にしておきたい
[図114]。ただ、家が欲しいというだけであれば、単なる衝動買いのようなものだ。ど
うして賃貸ではいけないのか、家を買わないと達成できないのか、考えてみてほしい。
以前であれば、「家のグレードが高い」という理由で家を買う人が多かった。ところが、最近は分譲マンションや戸建て住宅を賃貸に出す人も増え、必ずしも賃貸M グレードが低いということではなくなってきている。「住環境」を挙げる人や「親の家の近く」のように、特定の地域にどうしても住みたいという要望もある。ただ、この住環境も住む地域に依存するものであり、別に賃貸だから住環境が悪くなるわけではない。むしろ、住みたい地域が決まっているのであれば、圧倒的に物件数が多い賃貸が有利だ。さらに質のいい賃貸物件が今
後も供給されていけば、グレード面でも、持ち家も賃貸も変わらなくなるだろう。
次に住宅購入の理由として多いのが「家賃を払い続けるのは損」「家を買えば資産にな
る」という金銭的な理由も多い。金銭的な理由に関しては、不動産売買の相場や、賃貸相
場にも左右され、時期によっても、物件ごとでも状況が違う。購入のほうが有利になり得
るし、賃貸のほうが有利にもなり得る。
家は金額も大きく、リスクの大きな買い物だ。だからこそ、「買ったら資産になる」と
いう理由を積極的に掲げ、本当に資産となるように努力してほしい。家を買うのが柿いの
は、給料が下がるからではなく、不動産価格が大幅に下がってしまうからだ。
バブル経済が崩壊するまでは、右肩上がりに不動産価格は上がっていた。あのころであ
れば、住宅ロlンを払えなくなったら、売ればよかった。不動産が値上がりしていれば、
売った代金で住宅ロlンを完済しても一財産が残るはずだ。
こんな世の中に、不動産価格が上がるというのは正直期待しにくいが、相場より安く買
うチャンスは転がっている。不動産は株式や債券などと違って、同じ地域にあっても、物
件ごとに状況は違う。だからこそ、不動産の価格は歪みが大きくなる。もしも、相場より割安に買うチャンスを手にすることができれば、買ったときよりも高く売る、値下がりし
にくい状況をつくることができる。割安に買うことができれば、格段に住宅購入のリスク
を軽減することができるのだ。